第4章 ドキドキ!?宿泊研修。えっ!3年生だから参加しませんよ?
遠月学園内にある極星寮近くの雑木林。
「す、すんません。」「うぅ」
大の男二人が、ボロボロの出で立ちで半ベソかきながら、一人の男の両肩にそれぞれ担がれていた。
担いでいる男は実は人ではない。今は主人と自身の霊力を使い人に見える様にしてるだけだ。名を同田貫正国という。
お握りを食べてる途中に、遡行軍の気配を感じで退治する為にその場を離れたのだ。彼の主である神菜も何となく察してたのだろう。
そうでなければ段ボールと共にお守りと刀装ついでに非常時の刀剣召集鈴を渡したりしない。
敵は此方の霊気が微弱な為か幸い2振り、しかも密集する林の中で大太刀と薙刀という事もあり難無く勝てた。
早めに引き返えしついでに林の中で鍛錬しようとした途中で、汗だくでしかも慣れない林道での走り込みでヨロヨロとした足取りの佐藤と青木両名を発見した。
「ったく、追いかけた根性は認めてやるけどよ。怪我でもしたら本末転倒だろうが」
見つけた際には既に体力の限界だったのか座り込んで動けなくなる寸前。
放って置いても良かった気もしないでもないが、仮に先に戻ったとして二人の帰りが遅ければ、必然的に主は同田貫正国に追いかける様に言うだろう。二度手間になるくらいならと思い。こうして彼らの前に現れて動けなくなった二人を担いだ。鍛錬にもなるだろう。
因みに持ってた段ボールは、同田貫のジャージとその辺に生えた木の皮を剥いで簡易ロープにしたもので縛り口に加えて運んでる。
「あ、アニキぃ〜」「おれ、アンタに一生、ついて行くッス」
「・・・・せめて、追いつける程度になったらな」
人と神・・・・否、刀にある寿命はあまりにも違う。
人より長くある場合もあり、それとは逆に短い場合もある。
追いつける訳がない。まして近づける訳が無い。
自分は刀・・・武器なのだから。
そして、人の形を成した刀剣男士の俺の役目は・・・
・・・・
・・・・・・
元の場所に戻ると誰もいない。多分寮内だと思うと言われ、とりあえずこのまま寮まで連れて行こう。
それを言うと何故か二人は涙と鼻水垂らして此方を羨望の眼差しを向ける。
どうでも良いが鼻水つけてくれるなよと内心冷や汗をかいていたのは伏せておこう。