第4章 ドキドキ!?宿泊研修。えっ!3年生だから参加しませんよ?
「ま、まぁまぁ。まだお握り沢山ありますし、水志先輩もお昼一緒に如何ですか?」
険悪な空気を払拭しようと田所さんがこちらに声をかける。ご丁寧にお重にまだ入ったお握りを見せる様にして、
「ありがとう。でも、妹が家で待ってるから、お茶だけ頂いていいですか?」
あまり遠慮して険悪な空気にするのもどうかと思い直し、お言葉に甘え、お茶を頂く、沸かしたてのあったかい麦茶。鼻に抜けるいい香りにホゥっと一息。
「あ、そういえばこの間借りた本に写真が紛れてたんですけど」
「写真・・・ですか?」
「はい。とっても綺麗な着物着た写真で、・・・すいません。今は持ってなくて」
もってなくても仕方ない事だ 。畑仕事の途中だし。
「気にしないでください。近々取りに行きますね。
もし、見つけたら部屋の机にでも置いておいて下さい。
鍵はふみ緒さんに預けてますし、あそこにある本はいつでも借りて読んでくれて構いませんよ。そういえば、今日運ぶ予定だった本は?」
「そこに置いてある。」
と、同田貫正国が指差した方を向くと木陰の下に置かれた段ボール。近づいて見ると直接地面に触れない様にジャージが敷かれてる。だから上半身裸のサラシ姿だったんだ。
言葉足らずでとっつき難い所があるがなんだかんだ気配りが出来る様だ。
「っっし!腹ごなしも済んだし、・・・・ひとっ走りしてくらぁ。」
今日、何故一緒に連れて来られたか忘れられてる様子。
「えっ!?あ、あの、いきなり動くと気分が」
田所さんを筆頭に心優しい女子寮生達が少し心配そうにしている。が、大丈夫。それについては問題ない。
「「アニキ、ついて行きます!」」
と、佐藤さん青木さんコンビが立ち上がる。それを少し煩わしげに見る。
「へっ!テメーら、俺について来れんのか?俺は手加減しねーぞ」
「ゴホン!」
咳払いをして同田貫正国を見る。
「なら、コレ持って行って下さい。多少のハンデに丁度良いんじゃない?」
そう言って段ボールを見せる。
「っし、じゃあ、俺は先行くぞ。」
抱えて雑木林の中に入っていく。
「早くいかないと。えっと青木さん?・・・佐藤さん?」
「嫌、俺が青木っす」「おれ、佐藤です。」
・・・・逆だった。
「 ついて来たかったら勝手について来い。」
林の中から声がし走る。
「「あ、アニキー!!」
