第4章 ドキドキ!?宿泊研修。えっ!3年生だから参加しませんよ?
「よしっ!一通りのメンテナンスと修理はこれで大丈夫です。水道の方もこれで暫くは保つかと。あとは・・・」
チラリと見つめる先にあるのはこの寮内のレンジフード
やはり名のある料理学校の寮というだけあり、レンジフードは超高性能。の、筈なのだが、動いてはいるものの、換気扇から異様な臭いが漂ってる。しかも焦げやかなり油や埃で汚れてる。
「悪いねぇ。最近、何処ぞの莫迦が新作ゲテモノ料理作って匂いが落ちないんだよ。」
「道理で・・ゴホゴホ。掃除ついでに、フィルター換えましょうね。」
この時、神菜は後悔した。レンジフードのカバー不用意に開けた事を。
いままで心なしか香っていた程度の異臭をもろに受けたからだ。
くさやと酒盗とヨーグルトと甘いジャム混ぜた様な匂いの中
何とかレンジフードの掃除を終えた。
「大丈夫かい?」
「こ、コレ、ゲホッ。多分、床下・・ウップ収納庫も・・掃除した方が・・・ウエッ・・」
下手に匂い残しておくと調理に支障が出るレベルだ。
喉から物が迫り上がってくる感覚に嘔吐きシンクの前を陣取る。
「そうだね。後は餓鬼共にやらせるとするかね。アンタは帰んな。」
いつの間にかマスクを装着したふみ緒さんに促される。お言葉に甘えるとしよう。
外に出ても、匂いが鼻に残る。
指先から上腕まで隙なく石鹸で洗っても匂いが落ちてない様な気がするし。
「あっ!水志先輩お疲れ様です。お昼いっしょにどうですかー?」
極星畑の奥で、褌姿の一色君と食事準備をしてる後輩達を目撃。
「一通り直したよー。一色さん。そっちも畑の調子どう?」
動じる事なく声をかける。
えっ!?褌姿にツッコミ入れないのか?って?別段気にしないかな?畑仕事してるんだし。
久々に畑の中を見てみると結構色んな種類の野菜を育ててるみたいだ。関心関心。
畑の様子を見ながら後輩達の方へと近づいて行く。
お米と磯の香りが全身のやな匂いを消してくれる。
畑仕事で疲れたのであろう。皆我先にとお握りを食べている。
奥の人は両手に二個ずつ持って食べてる。よっぽど疲れ・・・
「「・・・・・・」」
先に帰した筈の同田貫正国と目が合った。
お握りにがっついていたのは悲しき哉、我が家のお刀様であった。
補足:レンジフードとは、キッチンについてる換気扇
