第4章 ドキドキ!?宿泊研修。えっ!3年生だから参加しませんよ?
「・・・ありがとう。山伏国広様、後は私が探しますから」
「ん?拙僧で良ければ手伝いを致すが?」
同田貫正国を追う様にという事だろうが、何冊も手に抱えてる状態の主を蔵に放置するのは些か気が引ける。
「私は大丈夫です。今日は沢山、山伏国広様と同田貫正国様にお手伝いして貰ったので」
「拙僧達も良い経験になった。まさか人里に鹿や猪、山のモノがいようとは思わなんだ。」
しかも、傷つけてはいけない、採ってはいけない、逃してはいけない。ときた。いい鍛錬になったと同田貫正国も内心楽しんでいた様子。
「うん・・・アレはかなり、特殊だね」
「して、主よ。何故、この様な書物が集められてるのだ?」
書物の多くが食物や食材別に書かれた調理方法や料理に関する歴史書などだ。審神者業には関係ない様に思える。
「この本丸は今でこそ、出陣が許されてるけど、ここは、特別本丸だからね。
収穫率の高い食物、日持ちがする兵糧、古来から伝わる品種の食物の保管、管理。それらの研究や備蓄をある程度用意しておかないと、すぐにその権限が剥奪されるの。」
今神菜達がこうして出陣を許されてるのは祖母や、祖母の前の代と、代々の審神者から譲られ、託され、また認められたからこそ、今の現状が保たれてるのだ。
「本当は、学校辞めて審神者業に専念する手筈だったけど、色々と事情があって学校に行ってるのだから、多少、頑張らないと。ね。それに、もし、私に何かあって、誰かにこの本丸を譲る事になってもその方が困らない様になるべく整えておいてあげたいの。」
我等刀剣男士にとって主は守るべき、唯一無二の存在。だというのに何故、その自分が居なくなる事を考えるのか?
そう言って微笑んで見せる主に一抹の不安を覚える。
「それに、しばらくの間保管する本が増えるし、少し整理しないと。今日会った後輩さん達に、貸そうと思ってる本をあと何冊か探さないと!明日渡すって言ったし。」
「そうであったな、して、主?残りの本は一体何処にどうやって運ぶのだ?」
現在小脇に抱えてる本も合わせて、まだ十数冊程ある。その上明日は先程、蔵に収納した数と同じ量入れる予定。荷台は本を貸す際に返す予定。
蔵の中にはもう既に入りきらない量の本があると言うのに。
「えっ、あ、どうしよう。」
