第4章 ドキドキ!?宿泊研修。えっ!3年生だから参加しませんよ?
誰も居なくなった、大広間の上座に座る神菜は辺りにヒトが居なくなった事を再度確認してから、もう一度息を吐いた。
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朝、本丸の大広間にて、不定期に行われる会議は身内だけとはいえやはり、緊張する。
会議という場がそうさせているのだろう。このような形式の会議は祖母の代から行なっていた。
公私を分ける為という理由であったが、現在は互いの立場を再確認する為という意味合いが深い。
相手が人型をとっているとはいえ、神の末席にいる付喪神。
しかし、神菜にとって彼等は幼い頃から一緒に暮らす家族であり、兄であり、育ての親も同然な存在故、どうしても常日頃から砕けた態度をとってしまいがちになるし、彼等もそれを良しとしてくれている。
が、
自分しかいない筈の大広間。その中央にある筈のない敷物とそこに座る紙布を被ったヒトの姿を認識する。
" お前はあくまでコチラ側のモノ。神に魅入られてはいけないし、寄ってはならない。
まして、オマエは・・・・・"
「ーーーーっ!!」
傍らにあった肘掛けを衝動的に投げつけた。
先ほどまで目の前にいたヒトは煙に巻かれた様に消え、肘掛けが音を立てて床に倒れた。
呼吸を整えようとするも息は荒く、肩が上下する。
心音も荒く、怒りで身が震える。
「主さん。朝食の用意が整いましたよ。
・・・・・・・・どうかしたんですか?」
立ち竦む主人の姿に堀川国広は問いかける。
「!何でもありません。ちょっと、体操してたら肘掛けが飛んでしまったの。うるさかった?」
「・・・・いいえ」
蒼白な顔でコチラに微笑みかける主声も強張った様に聞こえるもののそれ以上彼は何も言わなかった。
その代わり、優しく頭を撫でた。
知らない筈の幼い頃の主をいつもこうやって慰めていた気がして。
主は少し目を瞬かせ、やんわりと微笑む主の顔はそれでも何かに怯え、今にも泣き出しそうに見えた。