第4章 ドキドキ!?宿泊研修。えっ!3年生だから参加しませんよ?
「・・・・事前説明は以上です。各自、心構えはして置くように」
神菜が周りを見渡して言葉を続ける。
皆、戸惑いを隠し切れない様子。そして苦虫を噛み潰した様な複雑な表情を浮かべていた。
「不在の旨は政府も周知の事で訪問者はいないし、その間出陣等も免除。代わりに事前任務があるけど、まぁ、あとは気楽に行きましょう。」
と、場の雰囲気を和ませようと言葉を続けるもやはり表情は晴れない様子。
「ゴホン!とにかく、三日間留守にする間お願いね?
せめてそんな通夜みたいな顔はやめて。理美が不安がる。
三日間無事に過ごすためにも」
不機嫌そうな顔のまま歌仙が出て行くと、それに続いて一人、また一人と出て行く。
最後まで残った近侍の燭台切光忠に指示を出し自分も書類を再確認する。
「本当にやるの?僕の立場上、面と向かって反対出来ないけど、やっぱり、こんなの」
「とはいえ、決まった以上此方は不測の事態に備えるしかないでしょう?上の考えることがわからないのは同意だけど、ね。」
微笑んでみせるもやはり無理をしているのが分かるのか泣きそうな顔をしてから近侍は両腕に包み込む様にして神菜の体を抱きしめた。
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・・・・・・・・・・
「どう思う?」
「思うも何も主が決められた以上、我々は与えられた命を果たすまでのこと」
「薬研、へし切に聞くだけ無駄な事。」
「しっかし、政府は何ぞこがな事を考えちゅうがやき?」
「こんなの敵を本陣に引き込む様なもんだぞ?」
「或いはそれが狙いなのかもしれません。悲しい、この世は地獄です」
各々手に持った書類に目を向ける。その目線は厳しくも悲しげに見えた。