第3章 一章
条件反射でうっかり逃げてしまったが冷静に考えて今日、月曜日じゃん!?
いくら早退するとはいえ一般生徒が、堂々とサボってその上、寮に行くってどうなの!?
寮行っても誰もいないだろうし、いやふみ緒さんはいるだろうけど、きっと叩き出される・・・よね?うん、叩き出される。
いやしかし、先に家に帰っても強制的に病院連れて行かれそうだし、迎えに来た歌仙を置いてサッサと帰ったらまた一つお小言が増えてしまうし、皆に顰蹙を買う。
よし!覚悟を決めよう。運が良ければ、誰とも会わないで寮で時間を潰すことも可能だ。
「やぁ、探したよ。」
ガシっ!!!
優しく子供を諭す親の様に穏やかな声、肩に置かれた手は包み込む様にやんわりと乗せられているだけ、だと言うのにソレが誰か?と認識をした瞬間、心臓を握りこまれた音がした。
はんなりと穏やかに微笑む悪鬼がそこに居た。
・・・・・
・・・・・・・・・
コンコン
扉を叩く音がして間を置かずに先程、迎えに来た男が優雅に入ってくる。
「やぁ、途中の廊下で見つけたから報告しに来たよ」
先程と同じく優雅で品のある笑みと共にこちらに声をかける。
「離せ!怪力!!妖怪『エセ雅』、人が物思いに耽ってる時に取っ捕まえるなんて無粋だぞ!!?その上、うら若き乙女をアルゼンチン・バックブリーカーするなんて雅さのかけらもない」
神菜は現在、歌仙兼定の両肩にブリッジ状態で乗せられてる。
支えは・・・一切ない
「両手が使えなくなるのは却下、かと言って俵担ぎだと逃げるだろ? これならば、両腕が使える上、君も身動きが取れなくなる様式美もあり実に雅じゃないか。」
少し誇らしげに笑う男性。とても品のある方に見えたがプロレス好きらしい。
「パンツ見えるでしょーが!!」
「おや、股引を履いてるといつも自慢してたじゃないか」
「スパッツだっつーの!」
足を先程からばたつかせている為、布が翻り、黒いスパッツが見え隠れする。
「おっ!神菜、もうちょい足上げろ」「おっ!ナイスアングル。写真撮っておいてやるよ」
折敷先輩と小林先輩の両名が茶々を入れる
「やーめーてー!!」
「という事で僕らはこれで失礼するよ」
苦笑混じりに手を振りそのまま二人は出て行った。