第5章 恋花火(不二夢)
「…U17合宿、頑張ってね!周助ならきっと日本代表の選手になれるって信じてるよ
代表選手に選ばれたら応援しに行くから!」
今はお互い頑張る場所が違うけど、
一緒に居たいという気持ちは変わらないってわかったから
周助を今まで以上に支えないと。
そして強くならなきゃ!
「ありがとう。寂しい思いさせてる分…合宿終わって、大会も終わったら、僕にいっぱい甘えていいよ」
莉那をギュッと後ろから抱き締める。
我慢してくれてるのが痛いほど伝わってきたから。
「うん!あ…これが最後の花火かな?いっぱい乱れ打ちしてる…とてもキレイ」
打ち上げ花火が終わると、大勢の人が神社を後にしていく。
「駐車場まで送るよ。」
「ありがとう」
楽しい時間は本当あっと言う間
この階段を降りたらすぐそこが駅近くの駐車場だ…
階段の手前で不二が莉那の掌に、可愛いラッピングがされた長細い箱を手渡す。
「莉那に似合うと思って買ったんだ。受け取ってくれるかい?」
「え、今開けても良い?」
いつもの笑顔で良いよと答える。
箱を開けてみると、ウサギの可愛らしいネックレスが入っていた。
「莉那はウサギ好きだよね?街で見かけたとき、直ぐに莉那の顔が浮かんで…買ったんだ」
「嬉しい…ありがとう、大切にするね!…私何も用意してこなかった…ごめん」
「…もう貰ったけど?」
「何…をっー?」
チュッ…
「キスと、可愛い浴衣姿と、あと…笑顔!ね、いっぱい貰ったから僕は大丈夫」
「もう!直ぐからかうんだから…」
「クスクスッ…そうだ!まだ二人で写真撮ってなかったね。…さっさと出て来てカメラマンになってよ。付けてきているのバレてるよ……英二」
木の陰からひょっこり出てくる英二に驚く莉那
「にゃははー、やっぱり気づかれてたかぁー…」
「え!?英二?」