第5章 恋花火(不二夢)
「いつから気付いたんだよー」
ブーって膨れている英二のほっぺを周助が両手でぶちゅっと潰す。
いつもの教室での光景を思い出して、つい笑ってしまう。
「あははっ英二、面白い」
「…花火の場所探してる時から気付いてたよ。莉那は全く気付いて無いみたいだから、話題には出さなかったけど。」
「ちぇっ、…莉那は笑いすぎだぞー!」
「さて、英二の話は後でみっちり聞くとして…莉那のご両親も待たせてるんだから」
「ほいっとね!んじゃ…さくっと撮っちゃいますかー」
英二にカメラを渡して、二人並ぶ。
カシャッ
カシャッ
「不二~!確認してちょ」
「ん、英二にしては上出来かな?」
「ありがとう、英二。やっぱり二人の絡みは面白くて、好きだな…。二人とも合宿頑張ってね!」
「写真はプリントアウトしたら渡すから、楽しみにしてて。」
「うん!」
「じゃあ、英二ちょっと待ってて。莉那を車まで送ってくるから」
「ほーい。莉那んじゃねー。」
両手でバイバイする英二に、負けじと元気よく手を振る。
「バイバーイ!」
「ちゃんと前見ないと危ないよ?」
「ごめん。また、会えたときは今日よりも沢山話しようね?」
車が見えてきた。
「莉那~!おかえりー」
お父さんとお母さんが笑顔で迎えてくれた。
「ただいま!」
「今日は本当にありがとうございました!莉那さんと充実した時間を過ごせました。」
「二人が楽しかったみたいで本当に良かったわ~!合宿終わったらまた家にも遊びに来てね!」
「不二君!合宿、頑張って」
「ありがとうございます!合宿頑張って、結果を出せたらまたお邪魔します!お気をつけて」
「今日は夏祭りに誘ってくれてありがとう!またラインするね!」
「僕も送るから。今日はしっかり睡眠取ってね?」
じゃ、家へ出発!
段々小さくなる周助の姿。
私達の車が見えなくなるまで手を降ってくれていた。
【完】