第5章 恋花火(不二夢)
全く。こんな無防備な寝姿を他の人に見られたら
どうなるかわかんないんだろうね
莉那の母から受け取った鍵でドアを開けて、
小声で「失礼します。」と一言添え、後部座席へと乗り込む。
莉那の頬を優しく撫でると、
「んんっ……」
声を出したが、まだ起きる気配が無い。
奥の手を使うしか無いかな?
莉那の顎をそっと掴み、
優しくキスをする。
最初はそれでも良かったけど
会えなかった分を少しでも埋めたくなって
だんだん深く激しいキスへと変わっていく。
「ふ…っ!…しゅ、すけ?」
「やっとお目覚めですか?お姫様?」
「あれ、お父さんとお母さんは?」
いきなりの彼氏登場と、両親が居ないことに気付いた莉那。
「さっき挨拶交わして、この辺を散策してくるって言ってたよ。」
そうだったのか…
「鍵は莉那に渡しておいて欲しいって頼まれたんだ。スペアキーはお父さんが持ってるから安心して欲しいって言ってたよ。…さ、もう行こうか?」
車から降りようとする不二の手を掴む。
「なに?」
「ね…もう少しだけ…」
顔を赤らめてキスをねだる莉那の唇に人差し指を当てる
「そんな可愛い顔しても、ダメだよ。これ以上キスしたら我慢できなくなっちゃうからね」
莉那の両親も近くにいる。
合宿所も近いので、
誰に見られるかわからない状態でこの先の行為をするのは危険すぎるだろう?
優しく諭すと、ちょっと悲しそうな顔をして小さく頷いてくれた。
「そうだよね!大丈夫だよ。困らせること言ってごめんね」
「手、繋いで行こうか」
「うん!」