第5章 恋花火(不二夢)
お祭り当日。
U17合宿所では、朝食のバイキングに選手たちが集まってくる。
「あ、不二~!おっはよー」
「英二、おはよう。今日は早いんだね。」
後ろから抱き付いて来た英二に挨拶をすると
「ふっふーん!まぁねー!だって今日お祭りあるからさー、練習早く終わらせたくて!」
「クスッ、そうだね。僕も頑張っちゃおうかな?お祭りには莉那も来るんだ。」
莉那と久し振りに会えると思うと練習もやる気が出てくる。
朝食をお皿に乗っけ終わると二人で席を探す。
「兄貴、菊丸さん、良かったらここどうぞ」
窓際の席に座っている裕太が声を掛けてきた。
「裕太、ありがとう。」
「あんがとー」
「んふ…不二君、菊丸君おはようございます」
「観月…何で君も此処にいるんだい?」
「僕は裕太君と同じ学校ですし、一緒にいても良いでしょう?」
「兄貴、観月さんに突っかかるのはいい加減止めろって…」
静かに怒りのオーラを出す不二に気付いた菊丸は、慌てて
「あー!俺達やっぱり大石たちと食べるね!観月、裕太君じゃあねー」
不二の手を引いて、大石達の姿を探してまた歩き回る。
「もー、まだ観月と仲違いしてんのかよ…」
「僕の大切な裕太を道具みたいに使っていた奴を許すなんて出来ないよ。」
「そうだよな…あ、そうだ、今日莉那来るんでしょ?…どんな格好でくるのかにゃ?」
怒りを落ち着かせるために莉那の話題を出す。
「…僕の勘だけど、きっと浴衣着てくると思うな」
「おぉっ…浴衣デート羨ましいにゃー」
「邪魔したらダメだからね」
「だいじょーぶ!桃たちにも邪魔しないように伝えとくって」