第3章 ペテン師の憂鬱(仁王夢/悲恋)
自分の想いを告白したこと
無理矢理キスをして莉那を泣かせたこと
大嫌いだと言われたこと
全てを相棒に話すと
いつも紳士な柳生が
まるで汚いものでも見るような…軽蔑した目で仁王を睨みつけていた。
「何故、無理矢理口付けをしたんですか?無理に奪えば、中谷さんに嫌われると…貴方は知っていたのでしょう?」
「あぁ…知っとったよ」
「では、どうして?」
「…気付いたら、体が勝手に動いとった。」
「仁王くんの気持ちが分からない訳ではないですが、他に好きな人が居る女性へ詰め寄るのは、好ましくないので今後しないでください。約束して頂けますか?」
「あぁ、分かった」
柳生のお説教は長いので適当に返事を返すと
「ちょっと失礼」
濡れたハンカチを殴られた左頬に優しくあてがってくれる。
「ありがとさん…流石ジェントルマンは、準備が良いのぉ…」
「貴方の相棒として…当然のことをしたまでですよ」