第3章 ペテン師の憂鬱(仁王夢/悲恋)
「ちょっと!何するの」
バランスを崩した莉那を抱き締めた。
小さくて柔らかい莉那の体は
力いっぱい抱き締めたら壊れてしまいそうじゃな…
「お前が好きじゃ」
「な、に言ってるのか分かんないんだけど」
顔を見なくても分かる
お前さんが困ってる顔をしている事くらい
「仁王…お願い、離して」
「イヤだと言ったらどうする?」
「…腕を抓る」
「抓っても痛くも痒くも無いのぉ。」
残念無念また…来週じゃ
「仁王の気持ちには答えられない。」
「……分かっとるよ。」
「私ね、幸村が好きなの」
「……それも知っとる」
「じゃあ、ど…」
どうして?と言おうとする
莉那の頭を抑えて無理矢理唇を塞いだ
バチーン
「っつ!」
「…無理矢理キスするなんて!最低!初めてだったのに……
仁王のバカ!だいっきらい!」
仁王をその場に残し、莉那は泣きながら走り去って行った。
真田よりも強いビンタを受けた
仁王の頬が真っ赤に染まっていく。
大きな音に気付いたのか柳生が走ってくる姿が見えた。
「仁王君!中谷さんに何をしたんですか?」