第3章 ペテン師の憂鬱(仁王夢/悲恋)
「莉那…此処にいたんだね。探したよ」
「あ、幸村!」
お前さんの王子様登場か…
幸村が来た途端、女の子の顔になる莉那
誰が見ても幸村に気があるのは分かりきっている。
二人の会話が遠くで聞こえてくる
「ちょっと…仁王!聞いてるの?!」
「ん…あぁ?…幸村は戻ったんか?」
気付けば幸村は居なくなっていた。
「うん。明日の練習についてちょっとねー」
「ちょっと、か」
今まで自分から誰かに告白する事は無かったけど
今言わないと後悔する気がして
思わず莉那の手首を掴んで
自分に引き寄せた