第3章 ペテン師の憂鬱(仁王夢/悲恋)
部活が終わり、後片付けに取り掛かる部員を後目に
仁王はいつもの様にコート裏にある木陰で休んでいた。
そこへ
「仁王くーん…だーれがサボって良いって言ったのかなぁ~?」
恐い顔をした莉那が見下ろしていた
「何じゃ‥お前さんか。カリカリ怒ってばっかりだと、可愛い顔が鬼になるから気ぃつけんしゃい」
普通の女の子なら可愛いと言われれば
顔を真っ赤にしてからかい甲斐のある反応をしてくれるが…
「はぁ?…ちょっと、また適当な嘘ついて…あー今すぐに口を縫ってやりたいわ」
意味が分かっていない莉那はツレない態度をとる。
「そんなツレ無いところも好いとうよ」
「…馬鹿なこと言ってないで、仁王も手伝ってよ!」
「はいはい」
好いとうよなんて言っても伝わらないのは
痛いほどわかっちょる
お前さんの眼には俺は映って居ないのだから