第3章 ペテン師の憂鬱(仁王夢/悲恋)
今日もコートに大勢の女子生徒達が集まっている
きゃあきゃあ
黄色い声援が選手たちへと降り注ぐ中、
ピッピーッ!!!!!
と、声援をかき消す程大きなホイッスルがコートに響き渡る
「観衆!!練習の邪魔になるから黙って!今大事な時期なんだよ!」
テニス部マネージャーの中谷莉那の登場に
シーンと静まり返る
「…ピヨッ、そんな風に言わんでもええじゃろ?」
「あ、仁王!」
「こうすれば静かになるから見てみんしゃい」
人差し指を口に当て、観衆の女の子達に向けてウインクをしてみせた
「静かに見てくれるええ子の方が、俺は好きぜよ」
女の子達に殺し文句を告げると
「はーい」
「仁王クンカッコイイよねー」
何て声が聞こえてくる。
女の子達は仁王の言う事を聞いて、その後大人しく見ていた。