第18章 闇の中
その時、ふと
お別れの時に言われた
カカシ先輩の声を思い出した。
「何度も言うが、お前はプロだと言う事を絶対忘れるな。このお面は自分を最大限に表現するための道具だ。いいな、忘れるなよ?」
目を閉じて、カカシ先輩を描いていた。
そばにいてくれるように感じた。
ゆっくり目を開けてベトレイを見つめた。
深く大きく深呼吸をした。
下唇をグッと噛み締め、目をギュッと閉じ、気持ち悪い感情を抑え込みながら、お面をつけた。
「…ベ…………」
"ベトレイ"
声を最後まで出せずに名前を呼びお別れを言った。
1分過ぎても、後ろを向いてくれていた。
「、本当に大丈夫なんだな?」
コネの私を労わる声が聞こえた。
「あーうん。大丈夫、私はプロだよ。常に自分を最大限に表現するんだよ。今日から私は違うよ。」
無理に明るい声を出せばコネが振り向いた。
「何が違うんだよ、わけわかんねー奴だな。あー、じゃあ俺も今日から違うぜ。バリバリ働いて稼ぎまくるぜ。」
「私もバリバリ働くわ。休みなんかいらないぐらいね。ガンガンいくよ、凄いよ?」
「ハハ、その粋だ。」
私たちは無理して喋りあっていた。
今はそれでいい。
そう思った。