第18章 闇の中
もう一度、冷たくなった血肉の塊を見つめながら、鋭い刀を抜き取れば、更に血が飛び散った。
勢いよく抜いたせいで足元に血がつき、
ドス黒く変色し染まる様子を冷たい目をして見つめた。
(暗部を辞めよう…私には無理だ。心が壊れた…)
情け無い弱音を頭の中で何度も何度も
吐き出していた。
私は反逆者の顔を見つめながら、
今後の話をコネに振った。
「急いで遺体を解剖して素性を暴き出して、すぐに親元を突き止めないと………」
「もうすぐ応援が来る。今は他の奴に任せろ」
間髪を入れずにコネに話を遮られ、小さい溜息をついた。先ほどから痛いほどにコネの視線を感じていたが、見れなくて下を向いていた。
「コネ、ごめん。全部私の所為だ。罰は受けるよ。悪かったね。」
靴に付いた血を見ながら呟いた。
「いや、違うだろ。お前の所為じゃねぇよ。俺も確信が持てなかったから、ヤマト隊長じゃなくてお前に言ってたんだ。俺が悪い。」
私たちは互いに責任を取り合っていた。
「ねえ、先に帰ってヤマト隊長に報告してきてよ。私応援来るまでここで待ってるから。」
「だめだ。今お前を一人にしたらお前、死ぬだろ。」
「はっ、死なないよ。こんな裏切り者の為に私が死ぬわけないよ。お願いだから一人にしてよ。」
「俺も今日は精神的にキツいんだよ。横にいたいんだ。なんかしんどいし疲れた。」
「……んー、じゃあ、後ろ向いててよ。ほら死なないから、刀ココに…、刺したし。自決なんかしないから…後ろ向いてて。」
ザクッと大事な刀を勢いよく地面につき刺し、真っ黒な瞳でコネを見た。
「しょーがねーな。1分だけだからな。」
コネが後ろを向いたのを確認して、
お面を剥がすように外した。