第18章 闇の中
森の中を血生臭い大きな斑点の跡を追いながら進めば、容易に裏切り者を見つけた。
「、あそこだ!!」
コネの声が鋭く響いた。
身体中に血を浴び、背中にはお目当ての地図の巻物を大事にリュックに担いで運んでいる。犯人も負傷しているようで、息荒く足がほぼ動かず、ズルズル音を立てながら歩いている。
「…ベトレイ………」
手にはお気に入りだと言っていた、細く長い刀がギラリと光り、ドス黒い血がべっとりと生々しくついている。まだ反抗する気のようだ。
こんな状況になっても投降しない背信者は、私たち2人の気配を感じていつもの笑顔を向けてきた。
「やだ、ネツキじゃん!うわーコネもいるのね。やっぱアンタ嫌いだなー、勘がいいよねー、コネのせいで前倒ししたのよ?見てよコレ、真っ赤っかになっちゃった。洗うの大変だと思わない?」
「………っ、いつから?」
いつもの笑顔を、薄気味悪く感じながら聞けばさらに笑った。
「最初からだよ?ふふ、楽しかったー。
やっぱ綱手様は強いね、殺せないよ、あれは。全然歯が立たないんだもん。流石五代目は違うね。」
目の前の裏切り者が今度は宇宙人に見えた。吐き気がする。
「誰の命令?死ぬ前に教えて。楽に逝かせてあげるから。」
ギラリと刀を出し一瞬でも動けば殺す覚悟を示した。
「アタシが言うわけないでしょ?孤児だし家族もいないし。死ぬ時は私が決めるわ、ネツキは黙って見ててよ、私の大好きな優しい親友でしょ?」
グラグラ頭に頭痛がした。
どこかで、まだ甘い事を考えていた。
親友は幻術をかけられ操られていて、
"本当は、こんな酷い事したくなかったの"
そんな言葉を言ってくれると小さく期待してしまっていた。自分の浅はかで幼稚な考えに落胆した。