第9章 夜
先にお風呂に入り、パジャマに着替えたカカシ先輩が、私に声をかけてきた。
「お風呂どーぞ。」
「あ、私は朝に入りますので、お気遣いなく。」
「………どーして?まさか、夜ずっと起きて護衛するつもりなんじゃないでしょーね???」
目の前にまで間近で喋られ、
ビックリして身体を思わず後ろに数歩退いた。
(当たり前なんですけどー…あれ、違うの?)
「もちろんです。私は護衛暗部ですから!夜が一番狙われる可能性高いし、寝ずに見張りをします。」
お面を被りながら当然のように喋っていた。
その言葉に瞬く間ガックリして
「はぁぁぁーーーー…」
と大きな溜息をつき、カカシ先輩が目をジトーッと細めて、私を不満そうに見つめている。
「夜中の護衛なんかいらないよ、が疲れて倒れちゃうでしょ?お風呂入って、パジャマに着替えて布団で寝ること!わかったね?」
「それじゃ私は護衛暗部ではありません!カカシ先輩、夜中敵に襲撃されたらどうするんですか!私が寝てたら瞬時に対応出来ないんですよ?」
「まーその時はその時で仕方ない、って諦めるよ。」
「えぇえっ⁈⁈⁈」
(諦めるって言っちゃったよ、
この人!!)
「とにかく!お風呂入ってサッパリしておいで、ね?
パジャマに着替えて今日は休む事!
いーね?。」
「でも!カカシ先輩、私は…」
「、ダーメ!
これは絶対だからね?火影命令だよ、ほら、返事。」
「…………御意!」
半分投げやりに答えてリビングを出たが、少し落ち込んでいた。
(護衛暗部が火影様と布団を並べて寝てたら、滑稽だとは思わないのだろうか…)
私は本当に
火影直属の護衛暗部なんだろうか…
不安の波に襲われていく。
御恩をお返ししたいと思っていた。
でも実際は、私がカカシ先輩から、たくさんの優しさを貰ってばかりの一日だった。
お返しをするどころか、
増えていく…。
少し溜息が出た。