第5章 護衛1日目
「、じゃあ、お願いします。」
昼食が終わり、お茶を飲んでいる時に突然声をかけられた。
何の事か全く分からず、
カカシ先輩を不思議に見つめた。
"部屋に帰ったらチューして。から"
先ほどのフレーズが、頭によぎった。
まさか本気だったとは思わず
呆然として目を大きく見開いていた。
時間を気にして時計を見れば、
13時40分…まだ14時まで時間がある。
「早くして?シカマルが帰ってきても、やるまで仕事しないから。」
その言葉に一気に呆れて見つめるが、カカシ先輩は何故か嬉しそうだ。
だいたい今日何回チューすれば気がすむんだ。
(先ほどの一生の不覚を忘れたのか、私は!)
忘れないよう、今回は、気を抜かないように心に決めた。
溜息をついて、カカシ先輩の頬に触れた。顔をゆっくり近づけ、自然にキスを落とした。
あまりにナチュラルにキスをしたせいで、カカシ先輩の身体が少しビクンと反応したような気がした。
唇を離そうとした次の瞬間、
背中をがっちり抱きしめられ、押し付けるように強い口付けに変わり、舌が中に入って深いキスになっていった。
(カカシ先輩………)
背中を撫でるように触られ、私もカカシ先輩も、少し息が荒くなっている。カカシ先輩はキスをしながら、吐息を漏らし、ゆっくり名残惜しそうに唇を離した。
「…我慢出来なくなるから、もう…いいよ。ありがとう…」
少し恥ずかしそうに呟いて、
再度ギューと抱きしめられた。
「自分で自分を苦しめて…あー、バカだな、オレは。」
私の頭を撫でながら、独り言を辛そうに言っている。
「よし、早く終わらせるね、。」
カカシ先輩は、ゆっくり席につき仕事を始めた。まだ2時まで時間はあるのに、早く帰りたいようだ。
私も赤い顔を隠すようにお面を被り、端で気配を消した。
やはり私は
流されていた。
また…
任務を放棄していた。
こんな気持ちで任務についてはいけないのに…ずっと…
ずっと…カカシ先輩が私に触れる時間を
愛しく感じている。
優しい気持ちで
火影様をずっと見つめていた。