第5章 護衛1日目
火影室では執務をこなし、
忙しなく文字を書く音が部屋に響いている。
たまに部屋に人が入室し、火影様や補佐のシカマルに確認や相談する事がメインだった。
その様子を端から見ていた。
常にいつでも指示が出しやすいように待機している。
周りに気を配り警戒し、護衛暗部としての仕事がやっとスタートした。
不気味な狐のお面をつけた暗部の人間が、火影室の端にいる。
それだけで緊張が走ってしまう。
仕事に支障が出ないよう、
目立たないよう、出来るだけ端に寄り、そして気配を消していた。
先ほどの失敗は、忘れて気を取り直すことにした。
ズルズル引きずるのは良くない。
覆水盆にかえらず、という言葉を思い出し、頭を切り替えて気を引き締めた。
張り詰めた空気を切ったようにシカマルが話をし始めた。
「カカシ先生…今日どーしたんすか?めちゃくちゃ真面目じゃないですか……初めて見ました。」
シカマルが唖然としてカカシ先輩を見つめている。
「が待ってるし、
早く終わらせたいんだよ。」
リップサービスをいただいたが、私は一切ブレずに黙って聞いていた。
護衛暗部がしゃしゃり出ていい場所ではない。
護衛暗部はしっかり立場をわきまえている。
「……………。」
「、もう暗部モードに入っちゃったの?さっきはあんなに可愛かったのになー…」
(またこの人はこんな事を平気で
言う……もう心を乱さないでほしい。)
絶対、お面を取らない。
そう心に今きつく決意し、
キッと鋭くカカシ先輩を見つめた。
しかし私がやる気を出せば出すほど、カカシ先輩は小さく気を落としていく。
(また…そんなお顔で私を見つめる……なんだか大きな子どもみたい……)
カカシ先輩の顔色一つで私は
こんなにも心が揺れてしまう。
本当に恐いお方だ。
仮面の下で下唇をグッとかみ、気合を入れ直した。