第30章 ごめんね。
「、早とちりして、実家に帰るとか言うし、意味分かんない。オレが養うんだから無理しなくて良いんだよ。ゆっくりしようよ。ね?働きたくなったら、また働いて良いから。」
「カカシ先輩……!さっきから、ずっと私と結婚前提で話が進んでますよね?」
慌てるように言えば笑ったカカシ先輩がいる。
「言ったでしょ?お前がいないとダメだって。オレと結婚しよう、」
「カカシ先輩……、え?…あれ?」
サッと左手の薬指につけられたのは婚約指輪だった。
「カカシ先輩…コレいつの間に買ったんですか?………あ!二人で私の浴衣を買いに行った時、先に帰れって言ったのは指輪を買うためだったんですか?」
ビックリしながらカカシ先輩を目を逸らさずに見つめた。
「アハハ、バレちゃった。指のサイズ、大丈夫そうだね、オレの感触だけで選んだから。綺麗でしょ?お前に似合うかなーって考えて、コレにしたんだ。」
「はい、とっても…綺麗です。嬉しい…こんなの初めてで…サプライズにしたかったんですね…?」
涙目になりながら聞けば、恥ずかしいそうに笑った。
「そうなんだよねー、だから綱手様から言われちゃうとは思わなかったなー。オレめちゃくちゃ酷い人間に見えるじゃない。……過信するな…ね。分かりましたよ、ちゃんと三人付けますよ。」
まるで綱手様と会話するように喋るカカシ先輩が、なんだか叱られた子どもみたいに見えた。