第87章 変えた。
くんと引かれ、玲央さんは驚いた顔で振り返った。
玲央「雅-・・・?」
嫌われても。玲央さんにもう二度と会わなくても。ブラックラブに戻らなくてもー・・・
だけど、伝えたい。本当のあなたを、つかまえたい。
「玲央さんは・・・!強情なんかじゃない!!」
玲央「ちょ、なにいきなりー・・・。」
「なんだかんだ言って玲央さんは、自分より相手のことばっかり考えて!お兄さんっていうよりお姉さんで!優しいのに私のことからかうのだけは大好きで!駅前のケーキが好きで!お菓子作りも大好きでー・・・!」
早口で話すひまも与えない私に玲央さんは戸惑っていた。
だけど、今はそんなの気にしない。気にせない。
「そしてー・・・恋の悩みは聞いてくれるのに、自分のこととなると、すごくウブなんですね」
私は涙目で笑う。 彼は驚く。
玲央「何言って・・・」
「私、こんなに玲央さんのこと知ってるんですよー・・・?」
玲央さんの肩に、頭を寄せた。
「でも、こんなの一部にすぎない。こんなんじゃあなたに好意も寄せれない。好きかもしれないのに、気づくこともできない。・・・ねぇ。」
顔をあげ、私はまたまっすぐ玲央さんを見つめた。
涙があふれでてるし、声も震えてるけど、いまはこれでいい。言いたい。
「もっと、私にあなたのことを教えてー・・・?知りたい。いろんなこと。もっともっと傍にいたい。」
手を伸ばし玲央さんの頬を優しく撫でると、玲央さんも目に涙を浮かべ、私を抱きしめた。
玲央「-ごめんなさいっー・・・!ごめんね雅。いきなり離れてごめん、ごめんなさいー・・・!」
震える体と腕と声を、私は包むように抱き返した。