第81章 見れないっての。
「え?」
ごめんと言った高尾君は
寂しそうに笑った。
高尾「俺さー・・・なんか自分が情けねぇなって思って空回りしてたわ」
「どういうこと・・・?」
顔を覗き込むとまた高尾君は微笑んだ。
高尾「話したら俺のこと引いちゃうかもしんねぇよ?」
「引かないよ。・・・聞かせて?お願い」
高尾「・・・今吉さんと花宮が雅達を見つけたこと聞いた?」
「うん。聞いたよ」
今吉先輩と花宮さんは吹雪の中、私と笠松さんのために外にでてくれたんだよね。
高尾「俺さ、今吉さんが外にでるって言った瞬間、やめろって言ったんだよ」
それが普通だと思うんだけど・・・。
高尾「今吉さん、必死でさ。結局花宮と一緒に行っちまった。・・・正直、かっけぇなーって思った」
「高尾君・・・」
高尾「命も惜しまず、外に行く二人の背中。すんげーでっかかった。それに比べて俺さ・・・怖かったんだよ。」
高尾君の手が目元をおさえる。
泣くのを我慢しているのだろうか。
高尾「外にでるのも、待つのも怖かった。俺も行く!ってなんで言えなかったんだろうって。自分のことばっかりで、雅のことなんで考えれなかったんだろうって」
「そんなっ・・・」
高尾「俺どこかで、俺が一番雅が好きだって思ってた。他の誰よりも、俺が一番本気なんだって思い込んでた。
・・・でも違うってこと、見せ付けられた感じでさー・・・」
高尾君はゆっくり私の方をみて
眉間にしわをよせた。
切なく、悲しい顔だ。
高尾「この人らには適わない。実感したんだ。」