第77章 スキーと悪夢。
「笠松さん・・・」
笠松「それと、今、気づいた」
すると笠松さんは私に顔を近づけ、額と額をあわせた。
さっきの苦しそうな顔とは違うけど、どこか苦しそうな表情で・・・
笠松「お前が好きだ。小倉・・・」
「え・・・?」
笠松「お前だけだ。お前以外には触れたくねぇ。お前だけでいい。・・・好きだ」
「笠松さん・・・」
彼の瞳からは、一粒の涙がおちていた。
笠松「返事なんていらねぇ」
「そ、そんなっ・・・でも・・・」
笠松「知りたくもねぇし、聞きたくもねぇしこのままでいい」
抱きしめている腕に力が入り、震えた声でこう言った。
笠松「ただ、今だけは・・・こうさせてくれ。傍にいさせてくれ・・・小倉・・・!」
「かさまっ、つ、さっ・・・・」
笠松さんの声があまりに苦しそうで切なくて
私も気づけば涙を流していた。
そして、
私も笠松さんの背中に腕をまわし、抱きしめた。