第63章 月の王子と星の姫。
ナターシャ「この、りんごを、ですか?」
男「なんだ、これは売り物ではないのか」
ナターシャ「いえ、そうではなく・・・。」
落ち込んでいた直後だったからだろうか
ナターシャは少し混乱してしまった。
男「ならば良いであろう。できれば、3つほどほしい。」
ナターシャ「はい・・・」
ナターシャはりんごを3つ袋に詰めた。
すると男も懐から袋をだした。金だ。
少量とみられる金が入った袋と、りんごの袋を交換した。
ナターシャ「毎度あり・・・。」
男はりんごをもらってからは何も言わず、人の中へと消えて行った。
袋の中をみると、5枚とはいえ、中に入ってたのは
金貨だった。りんごは銅貨2枚なのに。
もしかすると、さきほどの男は王家の人なのだろうか。
喜びと疑問が入り混じった気持ちをおさえながら
ナターシャはりんごを売り続けた。