第10章 同い年
医務室に着くと、特に外傷の無い私は簡単な診察を受けた後に、病室のベッドに寝かされた。
ベッドサイドに立って私を見下ろしている女性兵士と男性兵士に、私は身体を起こしてお礼を言おうとしたけれど、そっと肩を押し戻された。
「無理しないで。今日はもうゆっくり休んで」
そう言って笑った女性兵士は、明るいオレンジ色の髪をしていて、とても可愛らしい顔立ちをしていた。
「お前は十分頑張った。後は身体を休めるのが、お前のするべきことだ」
男性兵士の方はかなり年上のようだ。
口元にくっきりと浮かんだほうれい線と、少し癖のあるサンド色の髪の毛が特徴的だった。
「ありがとう…ございます…」
それだけ言うのが精一杯で、私はまるで深い穴に落ちていくようにして眠りについたのだった。
〇
医務室に担ぎ込まれた私は、そのまま一夜を医務室のベッドで過ごした。
次の日に目が覚めた時、一瞬自分がどこにいるのか分からなくなったが、前日に廊下でへばっているところを医務室まで運んで来てもらったことを、すぐに思い出したのだった。
「あのお二人に、お礼を言わなくちゃ…」
そう思って、昨日よりは少しマシになったものの、まだだるい身体を起こしてベッドから立ち上がろうとした。
だがすぐにグラリとめまいがして、ベッドから転げ落ちそうになってしまった。
「危ねぇっ!」
急に視界の外から伸びてきた大きな手が、がしっと両肩を掴んで、私をベッドの上に押し止める。
驚いて顔を上げると、目の前には昨日私をおぶって運んでくれた男性兵士の顔があった。
「目が覚めたんだね!でも無理しちゃだめだよ。まだ酷い顔色だもの」
男性兵士の後ろからヒョコッと顔を出したのは、明るいオレンジ色の髪をした女性兵士だった。