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【進撃の巨人/リヴァイ】君が描くその先に

第10章  同い年


 そのままぐったりと壁にもたれていると、後ろから声をかけられた。

「あなた、大丈夫っ?!」

「おいっ、しっかりしろっ!」

 振り向くのですら億劫だったが、私は何とか頭をもたげて、声のした方向に顔を向けた。
 視線の先には、こちらに向かって走ってくる男女の兵士の姿があったのだった。


 結局私は、どうやってみても身体に力が入らなくて、声をかけてくれた男性兵士におぶわれて医務室へと連れて行ってもらうことになった。

 私を背負う男性兵士の隣には、一緒に声をかけてくれた女性兵士が付き添ってくれている。

「ご迷惑をおかけして申し訳ありません…」

 ぐったりとしながらも、私が搾り出すようにして謝ると、女性兵士はニコリと笑った。

「何言ってるの。迷惑だなんて、少しも思っていないよ!
 あなた新兵でしょ?初めての壁外調査だったんだもの、倒れても仕方ないよ」

「そうだぞ。それに生きて帰ってきたんだ。お前ももう一人前の兵士だ!よく頑張ったな!」

 女性兵士に続くようにして、男性兵士も言ってくれた。

 生きて帰ってきた、という言葉を聞いた瞬間に私は、ライデンのことを思い出して、また両目から涙が溢れ出してきてしまった。
 そんな私の様子に女性兵士は一瞬驚いたように目を大きくしたが、すぐに胸元のポケットからハンカチを取り出すと、私の目の前に差し出してくれた。

「…使って」

 差し出された白いハンカチを見て、ますます私は悲しくなってしまって、ついには嗚咽を漏らして泣き始めてしまった。

(まずい…このままじゃ、この男性兵士の上着を汚してしまう…)

 だけどそう思えば思うほど涙は止まらなくなって、私はしゃくりを上げながら肩を揺らした。
 そんな私の背中に、ポンと優しく手が置かれる。
 びくりと身体を揺らして横を見ると、ハンカチを差し出してくれた女性兵士が、私の背中をゆっくりと撫でてくれていた。

 その後医務室に着くまで、彼も彼女も一言もしゃべらなかった。
 だけど、彼女はずっと私の背中をさすってくれて、彼は子どもをあやすようにしてユラユラと身体を揺らしながら歩いてくれたのだった。

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