第37章 反撃開始
「兵長もどうぞ」
私は両手を差し出して、キャラメルを勧めた。
だが兵長は首を横に振る。
「いや、俺よりも新兵の奴らに食わせてやるといい。それに俺は」
そう言って兵長は、ちゅっと私に口づけをした。
「これで十分だ。……甘ぇな」
「へっ、へいちょ…っ」
あまりにも突然のことに私は赤面して、手の中のキャラメルをこぼしそうになる。
それをそっと兵長の手が押さえた。
「オイオイ、今更そんなに驚くな」
「で、ですが、いきなりは心臓に悪いです……」
「そうか、それは悪かった」
ワシワシと兵長の手が私の頭を撫で回す。
「中央憲兵の事は俺達に任せておけ。お前は、俺達の疲れが吹っ飛ぶような美味いメシを頼む」
そう言って兵長は部屋を出て行った。
私はまだぽーっとなりながら、憲兵から”話を聞く”場には兵長も参加するのだということを思い出し、リーブス会長の言った『きっと、お嬢ちゃんに見せたくねぇと思っているのは分隊長さんだけじゃねぇと思うよ』の言葉を反すうしたのだった。