第37章 反撃開始
間に合わなかったかと、はぁ、と息をついて踵を返した時、ドアの横に兵長が立っていることに気がついて私は飛び上がらんばかりに驚いた。
「わあっ、兵長!」
入ってきた時には全然気付かなかった。
兵長は腕組みをしながら壁にもたれていて、私のことをじっと見つめていた。
「会長は帰ったのか?」
「はい、今玄関までお見送りしてきました」
「そうか、ご苦労だったな」
そう言って兵長は私の方へと歩いてきた。
その表情はいつもと変わらない様に見えるが、すっかり兵長に慣れた私には分かる。
何かちょっと困ったような顔をしている。
ふと、兵長の視線が私の手元に向いた。
私の手には、先ほどリーブス会長から渡された小さな箱が握られていたからだ。
「おい、何だそれは?」
「あっ、これは先ほど会長からいただいたものです。何でも、貴重なお菓子だとかで……」
「ほぅ……あのじいさん、さっそく協定を守ってくれたらしいな」
その言葉を聞いて、私はハッとする。そうだ、リヴァイ兵長が会長と取り付けてきた約束の中に”珍しい嗜好品等は優先的に調査兵団に回す”というのがあった。