第37章 反撃開始
ぞろぞろとみんなが部屋を出て行く中、リーブス会長も腰を上げたので、私は彼を玄関まで見送ることにした。
玄関までの道の途中、会長がふいに話しかけてきた。
「なんだか不服そうな顔だな、お嬢ちゃん」
からかう様な口調の割にはその声は柔らかく、まるで近所の優しいおじさんの様に感じられて、私はちょっと意外に感じた。
リーブス会長がどのような人柄の人物なのかは知らなかったが、中央憲兵の手先となって動いていたことからもあまりよい印象は持っていなかったからだ。
「……いえ、そういう訳では」
不服そう、というのは正解ではないのだが、あながち間違ってもいない。
分隊長の判断にはもちろん従う。分隊長がモブリット副長を指名したのには相応の理由があるはずだし、そこには私などには及びもしない思慮があるのだろうということも分かっている。
でも……記録作成ならば私も役に立てるのに、と思ってしまったのだ。
ただでさえ、先の囮作戦の時も待機していてあまり活躍できていない。
もちろん、アジトでエレンとヒストリアの護衛をすることは最重要任務だから、必要な仕事であることは分かっている。
でも、せっかく自分にも出来そうな任務があるのなら、それで貢献したかった。