第37章 反撃開始
やはり兵団で上にのぼり詰めていく方々は違うなと、そんなことを考えていた時、分隊長が少し言葉を切った。
「それで、憲兵から”話を聞く時”の記録係のことなんだけど……」
ぴくっと私の耳が反応した。
分隊長は”話を聞く”と言葉を濁したが、それはつまり拷問のことだ。そうであれば私も何か役に立てるかも知れない。
そう思ったのだが、分隊長が指名したのはモブリット副長だった。
それを聞いて思わず、「私にも何か指示を」と声を上げてしまった。
分隊長はじっと私の顔を見ていたが、
「では、……食事の準備を。君は料理が上手い。私達の潜伏生活の中で数少ない楽しみなんだ、君の作る料理は。今日はおそらく大変な一日になるだろう。力が湧いてくるような夕ごはんを頼むよ」
ニカッと分隊長は笑って私の肩をポンと叩くと、「これにて会議は終了」と言って部屋を出て行ってしまった。