第37章 反撃開始
潜伏先はすでにハンジ分隊長が手を回してくれていて、森の奥にある、今は古くなって使われていない関所だ。
そこは小さな小屋と石造りの棟が併設されている一見すると小さな建物だったが、建物の裏側から見ると、崖っぷちに建ったその建物は地下へと長く伸びていて、正面からは想像ができないほど広い建物であることが分かった。
これならば、”多少うるさくしても”周囲に気づかれる心配は無いだろう。
中央憲兵拉致のための作戦会議にはハンジ班の先輩方の他に、アルミンと、リーブス会長の姿もあった。
私も会議に参加させてもらえたのだが、絵を描くこと以外には取り立てて取り柄も無いので、黙ってじっとハンジ分隊長の話を聞いているだけだった。
分隊長はいつもと同じように明晰に話を進めていく。
巨人を前にしている時の分隊長は、私が言えたことではないのだが、ちょっと常軌を逸したようなところがある。
でも、こうやって理路整然と説明している姿を見ると、本当に頭の良い方なんだと改めて感じられて、一層尊敬の念が強まるのだった。
兵長はいつもむっつりと黙って聞いているが、要所要所で、短いけれど的確な言葉を発する。