第37章 反撃開始
そういう表情をすると、ますます弟のエリクと似ているように思えて、私の顔には笑みが浮かんでしまう。
似てるよ、と言いたかったけれど、これ以上からかうのも可哀想かと思い、私はふとヒストリアの方に視線を向けた。
相変わらず彼女はぼんやりとした表情をしたまま、窓の外に目を向けていた。
私とエレンの会話は聞いていなかったのかもしれない。
あの小さな身体に、その胸の内に渦巻いているであろう悲しさや寂しさを思うと、私の心も締め付けられるような思いがするのだった。
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それからまた少しの間、エレンとの会話は続いた。
エレンの話を聞くことも多かったけれど、せがまれて私の新兵時代の事なども話をした。
と言っても、一人ぼっちで過ごしていたため話すような出来事はほとんどない。
自分で言っててちょっと悲しくなったけど、エレンはそういう事は全く気にしないタイプのようだった。
私達が話している間もヒストリアは黙ったまま窓の外を見続けていて、結局私がティーカップを下げるため退室する時までほとんど口を開かなかった。
その様子は、まるで陶器でできた端正な人形のようだった。