第37章 反撃開始
それからしばらくの間、私とエレンは他愛もない話をして過ごした。
水を向けてやるとエレンは思った以上によくしゃべってくれて、主にアルミンやミカサの話をしてくれた。
子どもの頃から一緒だというし、仲の良い友達というよりも、もはや家族という感覚なのだろう。
エレンとジャンは訓練兵の頃からいつも衝突していたらしく、大体いつもつっかかってくるのはジャンの方だったと言う。
「アイツいつも俺に絡んでくるんですよね。その度に服が破けちゃいそうになるし、まったく何がそんなに気に入らないんだか」
やれやれ、といった感じでエレンが首を振る。
調査兵になってからの二人しか知らない私だったが、普段の様子から容易に想像がついたので何だか可笑しくて笑ってしまった。
「まぁ、嫌よ嫌よも好きのうちって言うし、本当に嫌ってたら喧嘩も売ってこないだろうから、ジャンも本当はエレンのこと好きなんだと思うよ」
「げぇっ!ラウラさんでも、そういうこと言うのやめてくださいよ!」
「あはは」
私が笑うと、エレンは少し唇を尖らせて、
「…何でアイツが俺の代役に選ばれるのか分からないです。アイツ、全然俺に似てねぇのに」
と不満げに言った。