第37章 反撃開始
「ヒストリアも、冷めない内に飲んでね」
「はい……ありがとうございます」
テーブルに置いたティーカップを少しヒストリアの方に寄せたが、小さな声でポツリと返事があるだけだった。
心配だ。
心配だけど、今はしょうがないんだ。
大切な友人と離れ離れになってしまって落ち込んでいる彼女を、今は黙って見守ってあげるしかない。
無理に笑顔を作らせるような事はしなくていい。
ただ、皆があなたの事を気にかけているよ、という事だけ伝わればいい。
今はそれくらいしか彼女にしてあげられることがない。
だから私はそれ以上何も言わずに、自分の手の中にあるティーカップをぎゅっと包み込むように握ったのだった。
エレンの方に顔を向けると、彼は部屋に一つだけあるベッドに腰掛けて、私と同じで両手を温めるようにしてティーカップを持っていた。
エレンの方もまだ口をつけていない様子で、張り詰めた表情をしていた。みんなの事が心配なのだろう。
私は空気を変えるために、訓練兵時代の事を尋ねてみた。
その話の中で、新しくリヴァイ班に任命されたみんなの事を少しでも理解できればいいなという下心はあったが、ずっとこんな風に張り詰めていたら気が参ってしまうから気を紛らわすために、という目的もあった。