第37章 反撃開始
アジトを出発する皆の事をエレンとヒストリアと一緒に見送った後、私は二人を先に二階に上がらせて、自分は台所に向かった。
二人とも青白い顔をして不安げな表情をしていたので、お茶でも出してあげようと思ったのだ。ついでに、食料品の調達の際に手に入れたお菓子も食べさせてあげよう。
兵長がいない時に私達が飲むのは、木の皮を乾燥させて作った安価なお茶である。地域によって使用される木の種類が違ったりするが、壁全土で飲まれているポピュラーなものだ。紅茶はとても高価なので、ちょっと喉が渇いたからといって易々と飲むことはできない。
お茶とお菓子をトレーに乗せて二階に上がると、部屋の前にヒゲゴーグルさんが立っていた。私は、ヒゲゴーグルさんにもお茶の入ったカップを手渡す。
「ありがとな、ラウラ」
カップを受け取った反対側の手で、ポンとヒゲゴーグルさんの手が私の頭を撫ぜる。どういう訳なのか、私は結構頭を撫ぜられることが多い。先ほど、階下で見張りをしているケイジさんにお茶を持っていった時にも頭を撫ぜられた。
子ども扱いされている様で恥ずかしいけれど、触れた手の温もりは緊張した心を解きほぐしてくれるような気がするので嫌いではない。ただ、兵長に撫ぜられると、胸がバクバクと高鳴ってしまって逆に落ち着かなくなるのだが。