第37章 反撃開始
部屋に入ると、窓際の椅子にヒストリアが腰掛け、エレンはベッドに腰掛けていた。二人共黙り込んでいて表情は暗い。ずーん、と室内には黒雲が立ち込めたようだった。
重苦しい部屋の空気を払うように、私は明るく声をかける。
「お茶でも飲もう」
私は、ティーテーブルにお茶とお菓子を並べていった。それを見てエレンが慌ててベッドから立ち上がって、手伝ってくれる。
「ラウラさん、ありがとうございます」
「いいよ。あまり気を張ってると疲れちゃうからね。きっと兵長達は上手くやってくれるから、私達は安心して待っていればいい」
「そうですよね…」
太い眉を下げながらもへらっと笑顔を見せたエレンに、私は残ったもう一つの椅子を使うよう勧めた。だが、「俺はベッドで十分です!椅子はラウラさんが使ってください」と固辞するので、結局は私がヒストリアの正面の席に座った。
目の前に座る小柄な少女は、ガラス玉のような大きな瞳をうつろに開いたまま、目の前に置かれたティーカップを見下ろしていた。