第37章 反撃開始
「ラウラも、はい。疲れたでしょう」
「ありがとうございます、ニファさん」
私にもパンを手渡してくれながら、ニファさんはにこりと笑った。
そうして休憩しているところに、ハンジ分隊長がやって来きて、ぐるりと私達を見渡した後、「みんな、食べながらでいいから聞いてくれ」と言った。
「王側はなりふり構わずエレンとヒストリアを手に入れようとしてきている。それは真夜中に奇襲をかけてきたことからも明白だ。だから私達は早急に奴らの本拠地及び黒幕の居所をつきとめなければいけない」
分隊長の言葉に、全員が頷く。昨夜の団長からの指示書にもそのように書かれていた。エレンとヒストリアを保護しつつ敵に切り込んでいけ、と。
「だから、二人をあいつらにくれてやろうと思う
「なっ」
「えっ」
ガタンとミカサが勢いよく椅子から立ち上がり、アルミンも大きな目を見開いてハンジ分隊長を見つめた。そんな二人の様子を見返しながら、分隊長は言葉を続ける。
「くれてやると言っても身代わりを、ということさ。今は本物を奪われる訳にはいかないからね。二人は我々の最後の切り札なのだから。つまりどういうことかって言うと、二人を奪われたフリをして、逆に奴らの居場所をあぶりだそうって考えだ」
「なるほど…」