第37章 反撃開始
夜通し森の中を歩いた私達は、空が白んできた頃になってやっと森から抜け、トロスト区の街中へと到着したのだった。
指示されていた合流地点に行くと、そこにはハンジ分隊長達の姿があり、潜伏するためのアジトが用意されていた。それは立ち並ぶ民家の一角であり、どこにでもある民家にしか見えない。山小屋で別れた後、分隊長達はアジトの手配や作戦に必要な道具などを準備してくれていたのだ。
小さな玄関からアジトに入った私達は背負っていた荷物を肩から下ろすと、数時間ぶりに腰を下ろした。いくら日頃から夜行訓練などで慣れているとは言え、やはり疲れるものは疲れる。
「みんなお疲れ様」
ぐったりと伸びている私達に、ニファさんが飲み物とパンを配ってくれた。
「パ、パァン!!」
椅子にもたれて虚ろな目をしていたサシャは、目の前に差し出されたパンを見ると飛び上がるようにして受け取ると、脇目も振らずにムシャムシャと食べ始めたのだった。
そんな彼女の姿を見て、私は疲れていることも忘れて思わず笑ってしまった。