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【進撃の巨人/リヴァイ】君が描くその先に

第36章  束の間の日常


「私も、兵長のことが好きです、んっ」

 言い終わるかいなかのところで、勢いよく兵長の顔が迫ってきて、その意外にも柔らかな唇で口を塞がれた。

「んっ、んんっ」

 医務室でされた優しいキスとは打って変わって、貪るような激しいキスに、私は息をすることもできずにされるがままになった。いや、もうあまりの勢いにそうなるより他なかったのだ。

 顔に兵長の荒い息がかかって、その激しさを感じる。すごく興奮されているのだと分かって、背中にゾクゾクと刺激が走った。
 身体に回された腕に力が込められて、少し痛いくらいだ。だけどこの感覚、壁に戻ってきた時に抱きしめてもらったのと同じだ。逞しい腕に抱かれて、この場所にいたら何があっても安全だと思えるくらい安心できる。

 そう思った途端、あの時と同じように身体から力が抜けていってしまった。手に持っていた食器のトレーが手から滑り落ちる。
 あっ、と思って、これから盛大に鳴り響くであろう食器の割れる音に身構えたけれど、その音が鳴ることはなかった。兵長が片膝をついて、食器トレーを受け止めていた。

「まったく…相変わらず手間のかかる奴だ。だが、惚れちまったんだから仕方がねぇか」

 フン、と僅かに眉を下げて笑った兵長に、私もつられて笑ってしまったのだった。

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