第36章 束の間の日常
「兵長、あの…足のお加減はいかがですか?もし今日の処置がまだのようでしたら、私にやらせてください」
「随分と良くなってきた。お前の手を借りるほどのことはない」
「いえ、私がやりたいんです。やらせていただけませんか?」
「…そうか。それなら頼むとしよう」
「はい」
すでに指は冷えていて、カップに触れてしまった熱さなど消え去っていた。もともとここまでするほどの事もないのだ。
私はさっそく手当てに使う道具をセッティングすると、兵長にはベッドに腰掛けてもらって、自分はその足元に膝をついた。
ブーツを脱いでもらい、足首に巻かれた包帯を解くと、腫れは完全に引いた様子で、もうほとんど戻通りになっているように見えた。何度もこの処置を行っているので慣れたもので、私はあっという間に包帯を巻き終えたのだった。