第36章 束の間の日常
食事の時間が終わり、食器の片付けのため皆が席を立ち始めた。兵長は一足先に自室に戻られ、私はスープを温め直すために台所へと向かった。エレン達はテーブルや椅子の片付けのためにリビングに残ったので、その後彼らの間で交わされた会話については把握していない。
兵長や分隊長、ハンジ班の先輩達が出て行って、104期だけが残ったリビングで、テーブルを布巾で拭いながらエレンが不思議そうな顔をして、敏い幼馴染みに尋ねた。
「なぁアルミン、兵長とラウラさんって何つーか特別な感じだな。何でだ?やっぱ、信頼関係が強いのかな」
「え?今さら何言ってんだいエレン。兵長とラウラさんは好き合っているんだから、特別な感じがして当たり前だろう?」
サラリと返したアルミンに、一瞬の沈黙の後、エレンは目玉がこぼれ落ちるのではないかと思うほど目を剥いて声を上げた。
「は…はぁっ!?何だよそれっ!?」
「そうですよアルミン!そんなこと初耳ですよ!」
エレンに続き、サシャも驚きの声を上げた。サシャは勢い余って、持っていた椅子を高々と掲げている始末だ。