第36章 束の間の日常
山小屋に集まったのはハンジ班と、新生リヴァイ班の合計13名だった。
そこそこの人数だったが、山小屋のリビングにはまだ余裕があって、外から見たよりもずっと広い建物であることが分かった。
リヴァイ兵長がまず口火を切って、今後の方針について話し合いが始まった。案は色々と出ていて、そのほとんどをアルミンが立案した。入団して数ヶ月の新兵とは思えない働きである。
アルミンの案は、巨人化したエレンが、女型巨人と同じように硬質化の能力を発揮してシガンシナ区の壁に空いた穴をふさぐというものだった。
とてもシンプルな作戦のように聞こえるが、これを実際に行うのは容易いことではないだろう。何より、大前提としてエレンが硬質化の能力を自在に操れなければ話にならない。今はまだ、エレンがその能力を発揮できるかどうかも分からないのに…。斬新な作戦ではあるが、現実味を欠いた皮算用であることもまた事実だった。