第7章 穏やかな日
ライデンのおじさんの家は、路地を入って行った奥にあった。こじんまりとした小さな家だったけど、中庭もついている珍しい作りだ。
細い道を歩いていくと、向こうの方に椅子に座ったライデンのお母さんの姿が見えてきて、私たちの姿を見つけるとおばさんは笑顔を浮かべて大きく手を振ってくれた。
その姿を見た途端私はたまらなくなって、思わず走り出してしまった。
おばさんの目の前に立った私は、ガクンと膝をつくと、おばさんの膝もとに身体を寄せて言った。
「おばさん…ラウラです。ご無事で本当に良かった…」
「まぁ…まぁ…!!ラウラちゃん…本当に、よく無事で…!!こんなに立派になって…」
おばさんは目に涙をいっぱい浮かべて、まるで私がここに存在するのを確かめるようにして、私の肩や頭を何度も撫でてくれた。
何度も頷きながら私の顔を覗き込んでくるおばさんのことを、涙で霞む視界で私も見つめ返した。
昔よりも少し痩せたように見える身体、目元にはいく筋もの深いシワが寄っていて、実際の年齢よりもずっと歳がいっているように見える。
だけど、
「また会えて、本当に嬉しいわ」
そう言って笑った顔は、昔と何も変わっていなかった。
「長い間、探してあげられなくて本当にごめんなさいね…辛い思いをたくさんしたでしょう」
おばさんは私の手を取ると、両手で包み込むようにして握ってくれた。
その手の上に、おばさんの涙が次々と落ちてきて、その温かさに私の目からもとめどなく涙が溢れた。
さっき、ライデンと二人で泣いた時には悲しみでいっぱいだったけれど、今度の涙はそれだけじゃない。おばさんと再開できたことが、どうしようもなく嬉しいんだ。