• テキストサイズ

【進撃の巨人/リヴァイ】君が描くその先に

第28章  旧調査兵団本部


 多分、時間にして数秒の間だったと思うが、はっと気を持ち直したとき、何でそうなったのかは全く分からないのだが、兵長が私の頬を撫でていた。


「おかしな奴だな」


 そう言って私を見つめる兵長の眼差しはとても柔らかくて、切れ長の瞳と目がかち合った時、ドクンと私の心臓は止まりそうになった。

 少しだけカサついている兵長の指が頬を撫でている。
 すぐにその手は離れていったが、兵長はそのまま壁に手を付いた。私は兵長におおいかぶさられるような格好になり、バカみたいに硬直しているしかなかった。

 兵長は私がやったように窓から夜空を見上げると、「あぁ確かに、今夜は月が綺麗だ」と言ったのだった。
 その横顔は、背後からのランプの灯りと、窓から差し込む微かな月明かりに照らされて、少し影ができていた。

 何て格好いい横顔なんだろうと思った。あぁ、後でこの顔をスケッチしておこう…。なんて、思わず見とれながら私は思ったのだった。

 絵の事を考えたら、不思議と落ち着いてきて、席に戻った兵長が食事を再開されたので、大したことはできないが隣に立って給仕をしたのだった。

 まだ湯気を立てているスープを口に運びながら兵長が言う。


「美味いな」

「あ、ありがとうございます!」


 思いがけずほめられた事で嬉しくなり、その一言で私はやっと普段の調子に戻った。
 喜々として給仕をする私の事を見て、フッと兵長が笑ったような気がした。

/ 660ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp