第28章 旧調査兵団本部
「おいおいエレン!いくらラウラの料理が美味いからって、そんなにがっついて食べて喉に詰まらすんじゃねぇぞ!」
左隣に座っていたオルオが、眉をひそめて言う。おそらくリヴァイの口調を真似ているのだろうが、口元にパンくずが付いているので、全く迫力を感じない。
「あはは!おかわりあるからねエレン」
エレンの正面の席でラウラが笑う。それを見てエルド達も笑う。リヴァイの目元も、穏やかに揺れていた。
(この日常が続けば良いのに)
穏やかな空気に包まれる中、ラウラは思ったのだった。
こんな時に皆の心に浮かぶ思いは、きっと同じなのだろう。
〇
楽しい夕食の時間も過ぎて、食後の紅茶の準備はエレンへの指導も兼ねて一緒に淹れたのだった。
教えていて気づいたが、エレンは少しだけ不器用みたいだった。でも、とても一生懸命に覚えようとしてくれるので、きっとすぐに上達するだろう。
それに、筋も悪くない。初めて淹れたにしては中々美味しく淹れられたと思う。
その紅茶を皆で飲みながら過ごしているところへ、ハンジ分隊長がやって来た。
「こんばんはー、リヴァイ班の皆さん。お城の住み心地はどうかな?」