第28章 旧調査兵団本部
勝手口のようなところに行くと、その戸口には雑草が生い茂り、まるで緑色の額縁に入れらたみたいになっていた。
久しく使われていないせいで、かなり荒れているようだ。
軽く草をむしってから扉を開けると、そこは調理場のようで、かまどや洗い台のようなものが見えた。その床の所々から、雑草が飛び出している。
外観以上に内部は荒れていて、建物内であるにも関わらず床の石畳の間からは様々な植物が生えていた。思った以上の荒廃ぶりだ。
そっと踏み込んでみたが、ブワァッと土埃が舞い上がり、視界を遮るほどに立ち上る。
扉から差し込む陽の中でホコリがキラキラと光っていた。
そんな状況を見て、リヴァイ兵長が黙っていられるはずもない。
「早急に取り掛かるぞ」
普段から険しく引き締められている表情をさらに険しくして、兵長は持参した三角巾とマスクを素早く装着すると、まるでブレードを構えるかのようにして竹箒を握り締めた。
「お前ら、気合い入れていけ」
「はっ!!」
兵長が檄を飛ばし、私達はまるで巨人との戦闘に向かうかのような真剣な表情で敬礼をした。
でもあながち大げさな事でもない。それくらい、兵長からの掃除の指示というのは重い任務なのだ。
私のアトリエを掃除してもらった時もそうだったが、リヴァイ班の皆は兵長から徹底的に掃除技術を叩き込まれているため、巨人討伐だけでなく掃除の面においてもプロフェッショナルなのだ。
巨人の討伐技術と同じくらい…いや、場合によってはそれ以上にストイックに、日々技術を磨いている。