第27章 巨人になれる少年
「あっ、ありがとうございます」
ぱっと顔を上げたエレンと目がかち合う。
(あれ…?)
地下牢で見た時、彼の大きな瞳は確かに黄金色に輝いていたはずだ。触れたら切れてしまいそうにギラギラと光を放っていた。
だけど陽の光の下で見た彼の瞳は、深く綺麗な緑色をしていた。
(何となく…似ている)
思わずそう思った。エレンの瞳は、弟のエリクに似ていると。
顔立ちはもちろん違うけれど、何となく…雰囲気が似ているような気がした。
そうだ…エリクがもしも生きていたら、エレンと同じ年齢だった。だから余計にそう感じるのかもしれない。
私の差し出した布を受け取ったエレンは、まだ少しこわばった表情をしていたものの、年相応の男の子らしい笑顔を浮かべた。
先ほど審議室では狂犬のように吠えまくっていたが、こうして目の前にすると、素直そうな良い子ではないか。
眉を下げてへにゃりと笑うところなんて、子犬の様で可愛いと思う。
私は何だか…弟が目の前にいるような気持ちになってしまった。なぜそう思ったのかは自分でもよく分からない。
傷だらけの姿を見て、母性をくすぐられたのだろうか。
弟の姿と、目の前のエレンが重なる。いつだったか、弟が近所のガキ大将と大喧嘩をして、傷だらけで帰ってきた時の姿に似ていると思った。